2010年6月 山形県鶴岡市 荒沢湖

〜我らは、タキタロウに会えたのかな!〜

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タキタロウ伝説

昭和57年、山形市からの一行4人が以東岳の直登尾根で大鳥池の湖面を泳ぐ巨大な魚の姿を確認したことから、伝説の怪魚「タキタロウ」は一躍全国の注目を集めた。その魚が泳いだあとにはクサビ型の大きな波が長く尾を引き、目視できた部分だけでも1mはあった。全体では2m前後はあったのではないかということだった。
 旧朝日村では昭和58年に調査団を派遣し地道な研究を続けたが、いまだ「タキタロウ」の全容は明らかでない。
これは、鶴岡市のタキタロウ館のパンフレットに書いてある文章である。
もっとも俺が、「タキタロウ」を知ったのは、たしか少年マガジンだと思うが、連載漫画の釣り吉三平だ。

ラクーンでのツアーには、交通の便悪くアプローチが遠くて幾度かボツになっていたが、今年の6月決行になった。ラクーンのホームページで発表した。
ブルートレインで行くやまがた たきたろう湖ツアーである。
上野に夜9時にでる寝台特急あけぼのだと鶴岡に朝4時半に着くのだ。
しかしながら寝台特急でやってきたのは、はるみどんだけであったが。

このツアーは、先月奥利根湖での山菜キャンプで大きな尺物イワナを釣り、モリさん(高柳さん)もびっくりした千葉の三木さんが、大変来たがっていたのだが、仕事が入ってアウト。しかし三木さんの友人オガサワラさんが秋田から仙台の友達を引き連れ参加。東京からは、釣りといったらシシ!のシシ君とナオちゃん、それと昨年夏ならまた湖でカヌーからルアーで怪魚を釣り上げたいっちゃんらが参加することになった。もちろん皆自慢の釣り竿持参である。これに車に釣竿を積み忘れた俺とブルートレインで空の缶ビール片手に降りてきたはるみどんの計7人のレイクツアーが始まるのだ。

6月4日(金)
最上川の下見(2010年10月にツアーを行なう)が終わって月山を通って鶴岡市大鳥の荒沢湖畔のオートキャンプ場タキタロウ公園にやってきた。午後3時だ。
とても静かなキャンプ場である。広いし、きれいだ。そして俺しかいない。しかし俺は不満なことが一つあった。湖の水位が下がっていることだ。この湖は超満水でなければならないのだ。たきたろう祭があり、その祭までギリギリ湖の水を貯めるのだ。
オーバーフローした水で、森の中まで水が浸入してカヌーで森の散歩ができる湖なのに、そのたきたろう祭は先週のことではないか。この水位では、カヌーで森の散歩ができない。
さっそくキャンプ場に申込と抗議に管理人のいるタキタロウ館に行く。タキタロウ館には、年とったおばさんが一人でテレビを見ていた。「なに言うだ。満水じゃないか?」「いや下がってますよ。1m下がってますよ」「1m位じゃどうってことなか!」これ以上抗議しても仕方がないか。そういえば来るとき見た荒沢ダム、ガンガン流していたな。明日また下がるのかな。
 テント設営して鶴岡市に行く。明日の早朝ブルートレインではるみどんが来るからだ。

6月5日(土)
朝、雨になっていた。そんな中ブルートレインは、ゆっくりホームに入ってきた。やはり空の缶ビールが似合う。はるみどんは、「あけぼの」がいたく快適だったらしく爽やかに登場した。タキタロウオートキャンプ場に戻る。雨はやんだ。キャンプ場は、カヌーを積んだ車(オガサワラさんの車)とシシの車、それと小さなテントが1張りあった。皆来ていた。そして爆睡していた。はるみどんも爆睡。ぼけっと缶ビールを飲む俺。水位がまた30センチ下がっていた。遠くで釣り人が一人いた。やがて俺のほうに歩いてきた。「釣れないですね!」なんとシシ君であった。
 片手に竿、片手にビールのロング缶だ。俺以外は、まだ寝ていると思っていたが、遊びのこととなるとタフな男だ。寝ないで一晩中運転してきたはずなのに、シシ君はいつもそうだ。ラクーンに来ると夜中にやってきても星見ながらロング缶飲んでうろうろして、薄明るくなると釣り竿を振りながら片手でロング缶飲んでいる。
 やがて皆起きてきて、遅い朝飯。その後、カヌーで湖に繰り出し、いっせいにカヌーフィッシングへと行くはずであったのだが、タキタロウ館に行くことになった。タキタロウ館は、キャンプ場のとなりにあり入口に釣堀がある。20センチくらいのイワナがうじゃうじゃ泳いでいる。突然シシ君が、小石を釣堀に落とす。その小石に全てのイワナが反応。その小石に群がっていく。「やっぱそうだ!えさもらってないな!痩せてる。」とシシ君。
 ここは、竿レンタルをしている。竿持ってこなくても金出せばここなら釣れる。500円か、悪くないな!皆がカヌーで湖に釣りに繰る出しているとき俺は、ここで釣りしてよう。痩せたイワナなら、餌つければ俺でも釣れるだろう。などとコソクなことを考えてる俺であった。タキタロウ館の地下に2メートル位の模型のタキタロウが展示していた。
地下の大きな水槽には、40センチ位のイワナが泳いでいた。最初は皆冗談話などしていたのだが、だんだん目がギンギンになってきた。「よし!」と言いながらシシ君が館から出て行く。つられる様に皆も館から出て行った。
カヌーに乗り込むや竿を持って散っていった。皆燃えていた。さっき一人で釣堀に行き、こっそり釣っていようと思ったことを恥じた。皆に失礼ではないか。俺も燃えなければいかん!

来週は、北海道でのカヌーの試合に参加するので練習に勤しむのだ!湖から出ている木々をゲートだと思って燃えるのだ!「よし!」とはるみどんとタンデムで練習するも「静かな湖なんだから、のんびり漕ごうよ。」とのってこない。燃えが空回りの俺であった。
いっちゃんが大苦戦。でもシシ君がかろうじて釣堀にいたのと同じ位の2匹釣って来た。
 三木さんの友人のオガサワラさんとササキさんが、なかなか帰ってこない。すっかり暗くなっても帰ってこなかった。「モロさん、見に行ったほうがいいんじゃないの?」とはるみどんが言う。椅子に根が生えてしまった俺。「大丈夫だよ。湖だし。東北の人だし。」
「三木さんの友人だし。こんなことで心配して見に行ったら失礼だよ。」「モロさん!」
だんだんはるみどんの顔が厳しくなってきた。「カヌー持ち込んでる人だし、マッドリバー、アレね!なかなか転覆しないのよ!」などと自分でもおかしなことを言い、険悪なムード一発触発漂う中「すみません!遅くなって。」と二人が帰ってきた。「ボウズじゃ、かっこつかないし。」と4匹釣ってきたのであるが、釣堀サイズであった。
それはともかくやっと宴会になった。酒が回り皆釣った魚以上に話が大きくなった。満天の星空であった。

6月6日(日)
爺になってくると朝が早い。起きたのが俺一人である。あれれ今日は、リベンジディー!タキタロウを釣る?ではなかったのか!しかしながら皆さんまったく起きてこない。
日曜日ということもありパラパラと釣り人が湖のあちらこちらに見えるようになった。天気は良い。東北なのに夏日みたいに暑くなってきた。それでも皆起きてこないのだ。缶ビールをブシュ!と開けてもはるみどんすら起きて来ない。昨日同様寂しく一人で缶ビールを飲む。今日も遅い朝飯になった。「昨夜は飲みすぎたかな?」などと頭を振りながら一人またひとりと起きてくる。
疲れているのか?昨日の釣堀サイズに満足してるのか。緊迫感ゼロである。

食事の後、めいめいカヌーで繰りだし散ってくが、のんびりしている。また水位が30センチ下がっていた。湖の周りの緑豊かな朝日連峰の山々が俺に諭すように語りかけてきた。
「おまえよう。心がセコイヨ。水位だとか、釣堀サイズとか、何匹釣ったとか、俺たちみたいにドシッと大きな心になれんのか!」と山々に怒られたような気がした。
 この日は、皆釣れなかったようだ。遅い昼飯後解散となった。
 後日、奥利根でモリさんから熊谷達也の本が、面白いと薦められ邂逅の森を読んだ。荒沢湖の周りも舞台になっている。この山々で昔マタギが壮絶なるドラマがあったところだ。俺はすごい湖に来てたんだ。
それなのに俺、水位がどうだ!皆が釣ったのが、タキタロウから程遠いサイズではなどと思ったり小さな心が恥ずかしい。俺は熊谷達也の本を読んでまた行きたくなったのである。この山々に、この森に湖にまた来よう。

金はなくても心は、タキタロウのようにでかくありたいのだ。