2009年 10月 奥利根湖 

〜奥利根の番人モリさんとキノコ狩り

21年前奥利根湖に雑誌の取材で、カヌーで奥のコツナギ沢にキャンプにきた。
沢の入口でテントを張っていると沢の奥のほうからいかつい男がやってきた。
「おたくら、ここでテント張るんかい。やめときな!鉄砲水が出たら逃げられんだろうが。この先の高い場所にテントが張れるように慣らしてやったから、そこに張んなよ。」
「あとゴミもって帰れよな。カヌーで来るやつは、平気でゴミ捨てていくからな。」
と言い放って我らから去っていった。
雑誌編集の一人が、「もしかしたら高柳さんかも知れない。奥利根の番人みたいな人で、渓流釣りの世界では知らない人はいないですよ。」
モリさんとの出会いである。

それから、なんだかんだとモリさんには、いろいろお世話になりっぱなしの俺だが、最近すっかりご無沙汰していた。
夏になると、ツインカヌーでのならまた湖ガイド業で、すっかり奥利根湖に行かなくなっていたので、モリさんと会わなくなっていたのだ。

今年の夏、なんとモリさんが、ならまた湖に遊びに来たのだ。
すっかり話し込んだ俺。そして10月に奥利根湖のキノコのガイドを頼み込んだのだ。

10月17日(土)
 みなかみの道の駅でトラックで寝ていた俺。突然の電話で起きる。モリさんからだ。
「モロさん今どこだ。良かったら家にきなよ。コーヒーでも飲んでから行くべ!」
モリさんとコーヒーを飲みながら打ち合わせをした。
なんせ今回のキノコツアー変更が多い。
数日前、モリさんから電話で「湖の水位がとんでもなく低く、奥でキャンプはやめたほうが良い!それからキノコがでてねえぞ!モロさんどうする!」
どうするといわれてもと困惑する俺であった。

 今回の予定は、土曜日ダムサイトからカヌーで奥地コツナギに行き、モリさんのガイドで山に入り、キノコをドカッと採り、戻って豪快な料理して、奥地でキャンプ。
日曜日ダムサイドに戻ってくる予定であったが、仕方がない。
いろいろ変更したツアーになる。
 矢木沢ダム駐車場に行くと多くのモーターボートが並んでいた。ほとんどが、キノコ狩りだ。奥利根湖は、船を降ろせるのが一箇所しかなく、しかもゲート(8時〜6時)があり、湖面利用申請書を書いたりで朝は並ぶのだ。
1時間ほどで空いてきたのでトラックを下ろし、カヌー5艇降ろして駐車場に戻るとぼちぼちとお客さんがやってきた。
回のお客さんは、花火師ヤマちゃん以外は、常連さんである。府中のウォーリーさんバイク中年男のクラさんそれと3月の南伊豆ツアーからちょくちょく来ていただいてるスミコさんと友人のヨウコさんそれとあとから黒ちゃんたちが来るみたいである。スミコさんとヨウコさんは、チビトラではるみどんと一緒にきた。

カヌー4艇で7名なら沢に漕ぎ出す。
 モリさんは、モーターボートで追い越していった。
湖の水位はかなり低く、コツナギとなら沢の分岐の少し先で陸地になっていた。
それから沢筋に山に入った。ドカッてキノコではなく、ドカッと山ブドウを採って戻った。ダムサイトに戻ると黒ちゃんが一人でやってきていた。

 今夜の我らのキャンプは、ダム下の洞元湖サイトの森の中だ。そこまで車で移動。
テント設営。
モリさんは、焚き火で料理を始める。キノコ鍋ではなく、モリさんが、冬の間狩りでしとめた熊の肉で作る熊鍋料理なのだ。天気が怪しくなり、あわてて大型タープテントを張る俺。しかしながら、ラクーンで過酷に使用したタープテント、張り始めからビリビリ破れるのだ。雨も降ってきた。
焦る俺の背後から「何でティピー積んでこないの!」とはるみどんの激怒したいつもの声。「焚き火の薪積んだりで・・・いろいろ積んだのだが。」
「でもタープは積めたでしょうっ!」

この事態に「まあまあ!とウォーリーさんらが、ガムテープもって張るのを手伝ってくれた。やがて料理もできて、ガムーテープタープテント内で食事になった。

突然モリさん「この肉熊じゃねえ!いのししだ!」モリさんの冷蔵庫の中は熊肉、いのしし肉、鹿肉がチャック付きの袋に入って凍っていて、見分けるのは難しいらしい。
熊鍋でなくてしし鍋なのだが、ドカ〜ンと肉が入った豪快な鍋がとても美味しかった。
 鍋が終わってから、モリさんの採ってきた山ブドウのジャム作り教室が始まった。
意外と繊細だ。そして雨が上がり、焚き火を囲んで飲み始める。
いつも早々とウトウト睡間がきて、テントに逃げ込む俺がいつまでも飲んでいた。
「モロさん、無理してない?そろそろお休みになられたほうが・・・」などなどの声が上がった。

10月18日(日)
 昨夜作ったジャムは甘酸っぱくとても上品で美味かった。焚き火を囲んでの朝飯が終わり、テント撤収してダムサイトに行く。すでに準備OKのモリさん「モロさんよ、今日は歩くぞ!奥までいかねえとキノコねえかも。それと川渡ったりで皆濡れるけど大丈夫かな?」「濡れるのは、大丈夫ですよ。皆カヌーに来てるんだから気にしないで、どんどん濡らしてよ。大丈夫。大丈夫。」と俺。
 カヌー4艇に8名、モリさんは、モーターボートでコツナギ沢に行く。湖の紅葉は始まっていてとても綺麗であった。モリさんが、奥利根湖をよく「リトルカナダ」と言うのがわかる。
 カヌーを降り沢筋に登る。なかなかキノコに会わない。山の斜面でモリさん「俺の後ろに歩いてきてもめっかんないんで、男の人は高いとこ。女の人は下側で奥に行くぞ!」「キノコあったらどうするんですか?」「そんときは、採ってあとで俺に見せるか!でっけい声で叫べ!」で男の人グループの俺、急斜面を登る。とモリさんのでかい声「おーい、全員集合!」今上った急斜面を降りる。モリさんは、立ち枯れの大きな木の前で仁王立ちしていた。「皆集まったか!これが、クリタケだ!全部いいぞ!」とモリさんの指先の立ち木にあるわ!あるわ!さすがモリさん。プロガイドである。

 その後、森の中をどんどん歩く。わからないけど食べられるんでは?と採ったキノコをその都度モリさんに見せに行く俺。最初のうちは、「モロさん、これは、○○と言って食べられんよ。」と丁寧な受け応えがあったのだが、だんだんしゃべらなくなる。そして「モロさんよ!つまらんの採ってくんなよ!」だと言われてしまった。
 コツナギ平でキノコが採れた。コツナギ平まで来たのが始めての俺は、キノコ採りよりこの景色に感動した。樹齢300年のブナや熊が冬眠する木穴、うまい空気。360度ぐるっと人工的なものがない景色。癒されていく俺。ここは、日本の財産だ!今度来るときは、ビール持って時間を気にしないでブナに寄りかかって飲みたいものだ。 山から戻ると、沢入口で「本当は、ここでキャンプしたかったんだ!」とモリさん。俺も大変気にいってる場所だ。来年の満水の5月、今度は、ここにキャンプで山菜採りをしよう

 キノコ 山ぶどうジャム 火打ち石(コツナギ沢で拾った)などたくさんのお土産でこのツアーが終わる。最後にモリさん「お疲れさんでした。来月の15日からここは、ハンティングが始まるので、うまい肉食いたきゃ、俺んちくればいい!シチュウの会やるべ!
だいたい牛肉や豚肉なんてもんは、肉の中じゃ、最低だかんな!うまい肉食わしてやんから皆で来ればいい。」
 電車で来たスミコさんとヨウコさんお土産で荷物が膨らみ帰るのが大変そうであった。「12月になったらモリさん宅に皆誘って行きますよ。」とモリさんに伝える。奥利根の秋は早く、日が落ちると気温がぐんと下がったのだった。

12月にシチューの会を開催!
モリさんが仕留めた鹿がたっぷり

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